@素材の酸素の透過性が非常に良好
Aタンパク質の汚れがつきにくいために(≒アレルギー反応を起こしにくい)
B乾燥感が少ない
C形状保持が良い(取扱いやすい)
と、良い事がいっぱい(笑)です。という事から、この素材は「非常に良い素材」と考えられており、今後はこの物質がソフトCL素材の主役になるだろうと考えられているのです。
というわけで…発売当初、我々眼科医はこの素材に期するところが大きかったのです。ちなみに、先行して発売されたのは2週間で使い捨てるタイプのものが主流でした。患者さんにも「すごーく良いレンズですからねー!」と触れ込みを加えて処方をしていたのですが、どうも相性の悪い患者さんがあるのです。簡単に説明すると突然「アレルギー性結膜炎」を起こします。点眼で治療するも反応が悪く、レンズを旧型の素材のものに戻すと治ってしまうので「?」。「シリコンハイドロゲルはアレルギーも起こしにくい」が当初の触れ込みなのでさらに「??」。メーカーの担当者によると「アレルギーの原因はタンパク質なので、ほんの僅かとはいえ洗浄後に残存する汚れがあるのかもしれない。国内では未発売だが、ワンデーの使い捨てであればタンパク汚れに汚染されるはずがないのでアレルギーの問題は解決されるはずだ。」という説明をされました。「へーそうなんだー」と考えていたところにシリコンハイドロゲル素材のレンズとしては初のワンデータイプとしてトゥルーアイが発売され「やれやれ、これですべて解決だなー」と思ってみたところ…結局そうでもなかったのです…。また、アレルギーを起こす症例に遭遇し、やはり違う素材に戻すと治るのですよ…。もう「?????」です。このことをメーカーの担当者に主張しても取り合ってもらえないし…結構長い事疑問でした、ホントに。なので僕個人の判断としては「SCLのファーストチョイスはワンデーアキュビューモイストに代表されるうるおい成分プラスの商品(ボシュロムのメダリストワンデープラスも同様)。乾燥感が強いなど相性が悪い場合にトゥルーアイ。」という原則ルールで処方をしています。最初にトゥルーアイを処方してアレルギー性結膜炎を起こすと「新世代の画期的な素材」のレンズを使用して「目の状態が不良になった」という事実を患者さんに受け入れて頂けず、レンズ変更を了承して頂けないような気がするのです…。
で、実はこのアレルギー反応を起こす事情が最近解明されつつあります。元々海外では幾つか文献があったらしいのですが、東京医療センターの山田昌和先生(←先生はこの春から杏林大学の教授になられるそうです)がCL販売管理者講習の講演で話をされていました。また、コンタクトレンズ学会誌では近畿大学の宮本先生がまとめて解説をしてくれました。
「宮本弘子他:コンタクトレンズ関連乳頭結膜炎の最近の傾向、日コレ誌54:178-182,2012」 によると…
●シリコーンハイドロゲルはタンパク質がつきにくく、通常のアレルギー反応は起こりにくい
●シリコーンハイドロゲルは素材が硬いという特徴があり、硬いレンズの素材による(通常とは異なるタイプの)アレルギー反応を起こすことがある
古いタイプの素材でのアレルギー反応の特徴は・・・
1両眼性
2広範囲のアレルギー反応
3体質的にアレルギーを持っている方が多い
一方、新しいタイプの素材であるシリコーンハイドロゲルのアレルギー反応の特徴は・・・
1片眼性
2局所的なアレルギー反応
3体質的にアレルギーを持っている人は少ない
※代表的なシリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズ
• O2オプティクス (1ヶ月使い捨て) (チバビジョン)
• アキュビューオアシス (2週間使い捨て)(ジョンソン・エンド・ジョンソン)
• アキュビューアドバンス(2週間使い捨て) (ジョンソン・エンド・ジョンソン)
• プレミオ (2週間使い捨て)(メニコン)
• バイオフィニティー(2週間使い捨て)(クーパービジョン)
• エアオプティクス(2週間使い捨て)(チバビジョン)
• メダリストプレミア(2週間使い捨て)(ボシュロム)
• ワンデートゥルーアイ(1日使い捨て)(ジョンソン・エンド・ジョンソン)
「成程なー」っと。僕が以前から感じていた違和感はこれだったのですね!と納得がいきました。
ちなみにCL業界全体としては「シリコンハイドロゲル素材信仰」に陰を落としたくないようで
「(欠点など微塵もなく…)とても良い素材である!!」
とした趣旨の主張を曲げることがありません。ある意味事実ではありますが、こうした事情があるので患者さんが誤解をしてしまうのはイケないかな?と。
つまり「シリコンハイドロゲルは確かに優れた素材ですが、実は相性の悪い人もあるんですよ。」という逃げ道は確保しておかなければなりません。世間の認識がソコを納得してくれるのなら…ファーストチョイスがシリコンハイドロゲルでも全く構わないのですが…僕は少しヒネクレているのかもしれませんね…。
しかし、近隣の廉価販売CL店で、おそらく大した眼科的な知識もない店員さんに「史上最強の素材のCL」みたいな触れ込みで処方を受ける若人たちの中にアレルギー反応を起こす人があり…もちろん併設クリニックでは手に負えず「ちゃんとした眼科に行きなさい」と言われ当院へ。「CL素材変更の必要がある」と説明しても納得してもらえずアレルギー性結膜炎を治せない、しかもその患者さん本人には「こいつは藪医者!」と誤解され…仕方ないですよね、「史上最強の素材」なんだもの、悪さなんかする筈無い…って…そんなバカな話があるかっちゅうの!という経験をしているんですよ、実際に。
スミマセン、今日は何が言いたいのかわからない文章でした?
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